*光合成のさけび*  2005,3,2
いつからだろう 薬を飲む ということが好きでなくなったのは

こどもの頃は 風邪をひくと近所のお医者さんのくれる三角の紙にくるまれた粉くすり
オレンジ色をしていてすこうし甘くて好きだった それでも顔をしかめて飲みきった方が
お母さんがやさしい気がして すこし苦そうに がんばったふりをしながら飲んだ

わたしは食べることや生き方になんとか主義とかがあるわけじゃないから
ドンタコスだってパイの実だってグラタンコロッケバーガーだってだって食べるけど、
説明を聞いても今いちよくわからない白い粉の塊を体に溶かすのは何だかこわくて
できるだけ体の力に頼りたくて 実は処方してもらった薬もあまり飲まずにいた

今の私の選択は 今は家族にウィルスをうつしたくないから 実家をはなれること
体の声は 寝ていれば大丈夫だって言っている気がしたし 家族からは電話がくるしね
それでも2日経って しばらく付き合ってみた頭痛があんまりひどくて でも薬がなくて
私の異変(デイタイムに家の前に自転車がある!)に気づいて 朝、電話をくれた
愛すべきご近所友だちに頼ることにして、夜、電話をした

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しばらくしてうちのドアを開けた、
頭痛薬と焼き上がったばかりのきなこパンを持って
バス停ひとつ分の夜道を走ってきてくれた
彼女の顔を わたし 忘れないと思う
体は参っているけれど 心は満たされすぎてしまった

ようやく何か口にしようと思って作ったカフェオレ
初めて食べたのはカフェオレにひたしたきなこパン
あとはビタミン、愛媛っ子の血!伊予柑


普段どれだけ当たり前に健康なのか、どれだけの無茶を体が受け入れてくれていたかを
誰もが思うことだろうけれど 体を壊すと本当に有難く申し訳なくもったいなく、おもう

頭痛がひどくなると 久しぶりに聴けるって流していた平日のラジオも 
電話の音も 心配してくれる友だちからのメールが届く携帯の光る画面でさえも
頭にキンと響いて 聞くことも見ることも できなくなってしまった そうして
自分の大切な表現のひとつをWEB上にのみ頼っている現実に 今さら愕然とした
パソコンを開く人でないと見ることのできない世界にのみ発信している自分
文字のことはさておき、じゃあパソコンのない人は?目の見えない人は?

世界を回ってこどもたちに“たからもの”と“せかいちず”の絵を描いてもらい
それを本にして、絵を描いてくれたこどもたちに本を渡すためにまた世界を回った 
伊勢華子さんの本にみたそのいろいろなお話をおもいながら ふとんの中で考えた
“あこみちゃんはモノを作れるから強いと思う” 友達の言った言葉を 今さらおもう

発達していく技術やあふれる情報 その恩恵にはもちろん与っていくけれど
それでも 大切なものはちゃんとカタチにして残したい ずうっと残したい
そのおもいは 焦りながらも今気づいたことがうれしくて カタチにしたくて
左の心臓の底辺りからぐうっと突き上げてくるような わくわくしたものになっていた

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日焼け好きだったのに去年からは肌の声が脳に届いて
たまには日傘を差すようになった私だけれども 今は
肌が髪の毛が心臓が 太陽の光を欲してやまないよ!
なのに明日からは雪かあ~光合成は来週になりそうだ…

調子に乗って カフェオレのおかわりを作るのはやめて
今日はビタミンCにさらにレモンをしぼったのをあっためて
ゆっくり飲んで 明日に向けて また寝てしまおう

3日間なまけて すこうしやわらかくなったわたしの体たちが 
冷たい空気に頬を赤くしながら さっさかさっさか歩きたがっているのがわかる
おもてを歩いて風のにおいを体の中に吸い込んで! ああ 明日になるのが楽しみ 
by acomino.cocoro | 2005-03-02 22:31 | からだのこと。
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